仙台土産と云えば、萩の月、牛タン、そして、笹かまが代表格ですが、つい先日、大きな衝撃が走りました。あるテレビ番組で「笹かまをそのまま食べるのは間違っている」という意見が飛び出したのです。
発言主は、笹かまぼこの老舗・阿部蒲鉾店の阿部賀寿男社長で、「レンジで30秒ほど温めると、より美味しくなる」という新たな食べ方の提案でした。永い間、笹かまは、そのまま食べるものとされてきましたから、その発言は、業界内外の関心を集めました。
確かに、その指摘は的を射ており、笹かまフリークの一部では、以前から温めて食べた方が美味しいとの声が根強く残っていました。図らずも、そうした声を世に知らしめたわけですが、阿部社長のチャレンジ精神は、業界関係者から好意的な支持を得たようです。
さて、笹かまぼこの発祥ですが、はっきりとわかっていません。一説によると、明治時代初頭に仙台湾で大量に水揚げされたヒラメをすり身にして、串にさして焼いたところ、味も良く、保存も効くことから一挙に人気を博したと伝えられます。手でたたいて平らにしたことから手のひらかまぼこ、その形が似ていることから木の葉かまぼこやべろかまぼこなどと呼ばれていたことも。
戦後、その形が笹の葉に似ていることや、仙台藩主・伊達家の家紋が竹に雀ということで、笹かまぼこと呼ばれるようになったと伝えられます。昭和47年には「笹かま」は商標登録され、宮城県内のかまぼこ業者が使うことを許され、今日に至っています。3年前には、7月7日が、笹かまの日として制定されました。
もう1つ、大震災からのいち早い復興を目指して頑張る人たちを応援しようと、宮城県蒲鉾組合では「みやぎかまぼこ戦隊」を登場させました。「ささかまン」と「あげかまン」が戦隊を組んでいます。癒し系ヒーローのささかまン、性格はまっすぐ素直で人なつこいので、県内のイベントにはなくてはならない存在になっています。
夏の夕暮れ、片手にビール、傍らには、おつまみの笹かまぼこが3枚。そして、食べる前に、レンジでチンするのを忘れてはいけません。