かまぼこに”足”があるって知っていますか? どの業界にも、何かしら独特の用語というものがあります。かまぼこ業界で使われている〝足〟もそのひとつでしょう。
では、かまぼこの”足”とは何のことでしょうか? うどんやこんにゃくでは、弾力のある食感を「腰」と呼び、刺身や漬物では歯ごたえが良いなどと表現します。かまぼこの足の場合は、硬さの強弱、歯切れ、粘りなどを総合した食感を表現しています。
”足”は、魚肉に食塩を少し加えてすりつぶし、タンパク質の繊維を溶かして、加熱することによってタンパク質が網目を作って生まれるもので、原料魚肉の鮮度に大きく左右されます。
かまぼこの網目構造(電子顕微鏡写真)
どのような”足”が良いのかというと、しなやかで粘りのある弾力。噛んだ時に微妙な反発力があり、いつまでも口の中に残らず、自然と消化されてゆく、のど越しの良い”足”が最高とされています。もちろん、風味がよく、魚のうま味が残っていることも良いかまぼこの必須条件です。
余談ですが、かまぼこに造詣の深い大学教授がある時「良いかまぼことは、どんなものでしょうか?」と質問されて「売れっ子のダンサーのようなものだ」と答えたというエピソードがあります。
真偽のほどは、さておいて、教授は「見た目が美しく”足”が強くなくてはならぬ」。ダンサーは、見た目も綺麗で、しなやかな”足”が魅力だと言いたかったのかも知れませんね。
あなたも「弾力」と言わずに、「足」表現すれば、かまぼこ通の仲間入りです。
しなやかで粘りの強い足を特徴とする「焼き抜きかまぼこ」、 表面のちりめんじわが特徴