交通機関の発達で、日本全国いつでも、どこでも、ごく短時間で行けてしまいます。 たまに、地方に出かけても方言を耳にする機会もなくなりました。みんな標準語をしゃべっています。
昔は、地方ごとに、建物も言葉も食べ物もみんな個性的でした。現代人は、季節感や地方色、個性と引き換えに便利さを手に入れたのかも知れません。
先日、広島のテレビ局からこんな問い合わせがありました。「広島では、揚げかまぼこのことを「あげはん」と呼びますが、これは広島だけの呼び名でしょうか?」。
早速、調べてみると、京阪、四国・中国や九州では「てんぷら」、鹿児島では「つけあげ」「さつま揚げ」、沖縄では「チキアギ」、名古屋では「はんぺい(半平)」、関東以北では「さつま揚げ」、「あげかまぼこ」、「あげもの」と呼ばれているようです。広島の「あげはん」という言い方は、広島だけの呼び名でした。何故このような呼び名になったのか詳細についてはわかりませんでしたが…。
「あげかまぼこ」一つをとっても、地域ごとに、いろいろな呼び名が付けられており、かまぼこが地方の文化と生活に密着している伝統食品であるということを改めて認識させられます。
ちなみに、石川県の金沢では古くは、かまぼこのことを「はべん」と呼び、愛媛では魚の身を一度くずしてから、再び形を整えるので、「くずし」と呼んだそうです。
日本人の生活から失われつつある季節感、方言…。そんな中、かまぼこには、地方独特の呼び名や、製法、地域の食文化が色濃く残っています。かまぼこって、時代遅れの食品なのでしょうか?