もうすぐお正月――。
お正月と言えば、おせち料理。おせち料理の主役といえば、やっぱり「紅白のかまぼこ」と「伊達巻」。重箱の中で、凛とした佇まいは、さりげなさの中にも歴史と伝統の重みを感じます。かまぼこの紅白は、白は清浄、紅は魔除けを意味しており、紅いかまぼこの切り口の形状が目出度い日の出をイメージさせます。盛り付けにも決まりがあって「右紅左白」。右側に華やかな紅かまぼこを、左側に清浄な白かまぼこを詰めます。
一方、伊達巻は、華やかさや派手さを演出し、おせち料理に豪華さを与えます。また、巻物をイメージさせる形状が、学問や教養を連想させることから、おせち料理には欠かせない一品です。
おせちのかまぼこは、地方によって、それぞれ個性があります。熊本では、「旭巻」と呼ばれるかまぼこが使われ、旭巻を切ったときの断面が、大地から朝日が昇るように見えることから使われるということです。
お雑煮の具にもかまぼこが登場します。全国ご当地のお雑煮を見ると、ちくわ(青森、四国)、なると(北海道、山形、福島、東京、静岡)、かまぼこ(宮城、東京、広島、福岡、香川、沖縄)が使われます。鹿児島はつけあげ(さつまあげ)、愛媛はじゃこ天が使われます。
大みそかに食べる年越しそばにも、平天、かまぼこ、最近ではカニかまがトッピングされたりします。
そもそも、おせち料理は、季節の変わり目の節句(1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日)に歳神様に供された料理。節句の中でも1年の区切りとして最も重要視されたお正月料理をおせち料理と呼ぶようになったと言われています。家族の繁栄を願う縁起物の料理です。
お屠蘇で、新年を祝いながら、おせち料理をつまむ。これが、日本のお正月――。