「これは本物のカニではありません」。こんな注意書きが必要なほど、最近のカニカマは、本物と見分けがつかないほど精緻です。外国観光客の中は、最後まで、本物のカニと信じている人も少なくないようです。
カップ麺、レトルトカレーと並んで、戦後、日本が産んだ3大加工食品のひとつに挙げられるカニカマですが、この世に誕生して、40年。今では、すっかり世界の食卓に定着しています。欧米では、ヘルシー志向の波に乗って、年々、カニカマの消費量は増大し、中には「本物のカニより美味しい。それに、低カロリー高タンパクで、美容にもぴったり」と、モデル志願の若い女性たちを中心に、その人気はとどまるところがないようです。
中でも、フランスでは、カニカマブームが湧きあがり、定着しつつあります。カニカマは「スリミ」と呼ばれ、今や「スリミ」は、世界共通語で、大型スーパーのカニカマ売場には、主婦たちが殺到しています。シャンゼリゼ通りにあるキャフェで、カニカマを使ったシーフードサラダを食べるのが、パリジャン、パリジェンヌたちのお気に入りとなっています。
刻みタイプで当初販売がスタートしたカニカマは、スティック状タイプの登場で、一気に、火がつきました。細かい繊維をさらに細かくすることに成功する等、製造技術が飛躍的な進化を遂げ、松葉カニ風、タラバカニ風、カニ爪タイプなど、バリエーション豊かなものとなっています。
そのまま食べても良いですが、酢醤油でいただくと、本物のカニ肉を食べているようです。天ぷら、バラ寿司、茶碗蒸しなど、さらにひと手間加えると、見分けがつかないほどの本物度となっています。
これからの季節、さっぱりとサラダに、もちろん、冷やし中華やソーメンの具、チャーハンにと、料理に豪華さを演出するカニカマは、ぜひ、冷蔵庫に常備しておきたい庶民の強い味方です。