かまぼこ職人が日ごろ研鑽した技術を競うとともに、各地に残る伝統技術を継承するために、毎年、開催される全国蒲鉾品評会が、先ごろ、盛況のうちに終了しました。今回で69回目を数え、農林水産省後援の下で行われています。
各地方の製品を見て食べることのできる展示試食会の場で、ひと際、目を引く華やかな一群があります。「細工かまぼこ」と呼ばれるもので、一見、絵画かと見まごうばかりに、精緻で華やかに仕上げられたかまぼこ達です。
細工かまぼこには、「切り出し」「刷りだし」「絞り出し」と「一つもの」があります。
「切り出し」は金太郎飴のかまぼこ版。職人の頭の中にある絵を、付け包丁を使い、一色、一色、丁寧に重ねてゆく繊細なさばきは、見ているこちらも肩に力が入ってしまうほど神経を使う作業で、伝統技術の極みであり、かまぼこ造りの中でももっとも習得が難しい高度な技術とされています。
切り出しかまぼこ(鶴)
「刷りだし」は、型紙を使い、型紙にあわせてかまぼこの生地を刷りこみ、人物、花鳥、風景や模様など色彩豊かに表します。使用する型紙の数は描き出すものにより様々ですが、大作になりますと数百枚の型紙を使って描きだします。
刷り出しかまぼこ
(この絵は、数百枚の型紙を使って、描かれたかまぼこです。)
「絞り出し」は、引き筒(ケーキにデコレーションをするときに使う絞り袋と口金)を使って、かまぼこの表面に寿や松竹梅などの文字を書いたり、絵模様を描くものです。
絞り出しかまぼこ
「一つもの」は、粘土細工と同じように大鯛、扇子、松茸や動物などを作るものです。
一つもの (大鯛)
一つもの (額絵)
皆さん、機会がありましたら、食べて楽しむかまぼこばかりではなく、見て楽しむかまぼこの世界を一度実感してみてください。次回の品評会は、2018年2月頃を予定しています。