魚肉ねり製品の個性派“つみれ”

2015年3月12日
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魚肉ねり製品の中で〝個性派〟といえば、「つみれ」だろう。見た目もそうだが、食感、味わい、好きな人には堪らない一品だ。野趣溢れる食感が、「つみれ」の醍醐味。いわしのすり身を団子状にして、ゆで上げた「つみれ」が最もポピュラーだ。味噌汁やすまし汁にして、魚そのものの味を楽しむ。

昔から地元の港に水揚げされる新鮮な雑魚をすり潰してつくられてきた。魚の旨みがたっぷりつまった素朴な味わいは、おでん種としても、人気が高い。
赤身魚特有の臭みやクセを消すために、味噌や生姜、あるいは大葉といった薬味を加えるとさらに、風味が増す。

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江戸時代に版行された「守貞謾稿」によると、「摘入(注:つみいれ)、京阪にこれなし。ある人云ふ、昔は「うけいれ」と云ひ、鯛肉をすりて小梅実の形に製す。冬は味噌汁にこれを入れてみぞれの吸い物と云ふなり。今制、江戸にては半平(注:はんぺい)と同品の魚肉なり。四季ともに味噌汁等にこれを用ふ。」と記述されている。

食物大辞典によると、「つみれ」は、摘まみ入れる、摘み入れる、という言葉が変化したものだといわれており、調理したすり身を、手やスプーンなどで成形し、熱湯や汁物へ加えて、ゆで上げて作る。

今夜あたり、魚肉の美味しさがたっぷりつまったつみれを、汁物やおでんで食べながら、港町を旅する気分になってみるのも一興だ。

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